空き時間だ!休日だ!読書だ!!

私が読み漁ってきた中でとっておきの、自分の本棚に並べておきたくなるような小説をご紹介します。

愛すべき長編3冊

 はじめまして、園田オセと申します。読書トークをしたいという気持ちが高じ、この度ブログを開設させていただきました。どうぞよしなに。

 突然ですがみなさん、とびきり愛せる本に出会えていますか?

 この消費時代、本という名の付く商品はそれこそごまんとありますが、その中で、自分の愛を存分に注ぐに値する小説と巡り合うことは難しいのではないでしょうか。かくいう私も、日ごろ「読みたい!けれど読みたいものがない!」と頭を抱えています。

 本ブログでは、そのような悩みを抱えていらっしゃる本の虫の皆様に、良書の情報をお伝えできればと思っています。

※すでにご存じの方もいらっしゃるかと思います。ご自分の読んだ感覚と比較していただけると幸いです。

※個人の感想です。

では早速、紹介させていただきます。

 

         戦場のコックたち

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 本屋大賞候補作となった『ベルリンは晴れているか』(この作品もすごくおすすめです)の著者、深緑野分さんの初の長編小説です。初めてとはとても思えない描写力、構成力が光る一冊となっています。

 タイトルからわかるとおり、主な舞台は兵士と銃器がひしめく戦地です。そのなかでコックとして働く主人公たちが、戦場の鬱屈した空気の救いを、ささやかな謎解きに見出そうとします。

 戦争という重たいテーマを、その重さを十分にはわかっていない19歳の目線から描きだした作品です。巻末の参考資料を見ていただくと良く分かるのですが、著者が丁寧に時代背景や国柄について調査していて、作品に重厚な世界観が出ています。アメリカ兵のお話ということで、会話にアメリカンテイストが感じられますが、日本語が綺麗なのでとても読みやすいです。そして、切れ者がいたり、陽気で喧嘩っ早い奴がいたり、それぞれのキャラが立っています。

 

             屍鬼

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 かの有名な小野不由美さんの作品です。タイトルの字面からおどろおどろしい感じは伝わると思います。カテゴライズするならホラーですね。上下巻と分かれていますが、辞書と見まがうほどの重量を誇る長編です。内容も装丁を裏切らない重量のある作品でした。

 本編が始まるまで長い、と感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、じわじわと状況が追い詰められていく、まさに日本のホラーなんだと考えてみてください。ちょっと我慢してでも最後まで読んでみていただければきっと”わくわくぞくぞく”させてくれるはずです。大分広がりのあるストーリーですが、著者の手腕で綺麗に終わってくれます。締め方にがっかりすることは決してありません。

 残酷さに頼らず物語の状況から恐怖を喚起するものとなっているため、直接的な描写は少ないので、ホラーは好きだけれどグロは苦手だな、という方におすすめです。

 特におすすめなのは、怖いだけではなく、ただの勧善懲悪でもなく、一人一人の人物が考え、悩み、信じ、時に裏切られ、というヒューマンドラマが色濃く表れているところです。特殊な状況を作り出せるホラーならではの楽しみですね。何が正しいのか?どうすれば良いのか?答えなき問いに頭を悩ませてみるのも醍醐味です。

 

           有頂天家族

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 こちらも本屋大賞候補作としてノミネートされた『熱帯』の著者、そして『夜は短し歩けよ乙女』の著者である、森見登美彦さんの長編小説です。

 ざっくり言うと、タヌキと人間のお話です。しかも、主人公のタヌキの周りには、タヌキのジビエ料理が大好きな人間がわらわらいるという設定です。はっきり言って残酷な設定です。しかしこの設定とは裏腹な軽快な語り口調で重さを感じることなく読むことができることに加え、自由な発想から繰り出される突拍子もない展開の続きが気になり、ページをめくる手を止めることがなかなかできません。そしてふとした際ににちょっぴり切ないシーンもあり、ほろっと涙がこぼれそうになることもあります。

 

  

  終わりに。

 小説というジャンルに限らないことですが、ジャンルなどによって好き好きが大きく分かれるものと思います。その中でも、より多くの方々が「面白い!」と言ってくださるような書籍の選定を目指しています。 

 これからも良書を見つけ次第紹介していくつもりですので、お付き合いいただければ幸いです。

 ご紹介させていただいた作品についての熱い思い、熱くない思い、またはこの他のおすすめ小説などございましたら、コメントにお寄せいただけますと嬉しく思います。どうぞお気軽にご参加ください。

 

 それでは、またの読書日和に。